ようこそ加藤種男さん/後編

2013年10月10日 toyoda Tag : ,

ようこそ加藤種男さん/後編

前半に引き続き、加藤種男さんを迎えて糸島市深江公民館で開催された「地域とアートのディスカッション」の模様をレポートいたします。

昨年より二丈深江地区を中心に糸島芸術祭を開催しました。車が回転したり、四角い立体ができたり・・・地域の方々の中には「なんばしようとかいな」と思われた方も多いんじゃないかと思います。

今後は糸島芸農をもっと地元の方々に理解してもらいたい!そして、より地元の歴史や風土、産業にも関わったイベントにしていきたいと考えています。
そこで、今回、魅力溢れる土地柄や伝統、風習、そして現状などを地域の方にお話を伺い、語る場となるようなトークイベントを開催したいとの思いから「地域とアートのディスカッション」を開催する運びとなりました。

前半では、糸島芸農がどんな思いでどんなことをしたかをお話しし、全国各地の地域コミュニティーを体験してきた、
元アサヒグループ芸術文化財団顧問、加藤種男さんに各地域での体験を語っていただきます。そして後半ではワールドカフェスタイルのワークショップ形式で参加者全員の方と対話する、ということを目標にしました。

まずは前半の加藤さんのお話から。

糸島をご案内した時に古材の森やstudio kuraなどの古い家屋が今も変わらず再生されて、活用してある光景が印象的だったようです。
農業について言えば、その昔、年貢の取り立てとデモクラシーの関係なども話題になりました。
歴史の教科書では年貢の取り立ては厳しいものだと認識されているが、必ずしもそうではなく、もう少し農民は豊かな生活を送っていたんじゃないか。
東北などの自然が厳しい地域での話はまた別として、深江について言いえば、その証拠に古い家屋を見てわかる、とおっしゃいます。
村々の自治が進んでおり、一軒一軒に年貢がかかるのではなく、村々で年貢をかける、など寄り合いでディスカッションしていたことが伺える。その点で農家とデモクラシーの関係など、掘り下げると実におもしろい。

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それがなんでも自分たちの力でどうにかなると思うようになってきた。
昔はアイヌのように、自然とともに生きて行くための儀式やしきたりをもうけ、やっと自然と折り合いをつけながら日本人は生きてきた。それがいつしか、科学と経済だけで世の中をコントロール出来る思想へと傾いていき、今日がある。

自然の分け前をいただいていた時代から人間自ら自然の恵みである作物をある程度生産して生きてゆく「農」の形態になり今に至っている。自然とつき合って行く課程を震災以降、改めて考えていかなくてはならないのではないか、自然に対してもう少し謙虚にならなくてはいけないのではないか、といったお話が続きます。

「時代を反映して表現しているのがアートであるから。そんな現代の横柄な傍若無人な表現=自己表現ばかり追求しているようなアートが、そもそも受け入れられるわけがない」と笑いながらもきっぱりと言い切る加藤さん。

「アートといえば全て受け入れられると思ったら大間違い」と一刀両断。

私たち芸農チームにはなかなか、耳が痛い展開です。

とはいえ様々な人の想いを現代社会の中で組み取っていくのは難しい。
スマフォやケータイを現代人がなぜ手放せないかというと常に誰かと繋がっていないと不安でしょうがない、思いを伝えたい願望が根底にあるからではないか。

 

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糸島芸農が自分達の思いだけを表現するのではなく、我々が表現力を回復していかなくてはならないこの時代に、人々の想いを変わりに表現して、こんな伝達方法があるんだ、という役目をアートが担うというのなら興味深いのではないか。
多岐に渡る話題はつきる事がなく、残念ながらタイムアップとなってしまいました。
詳しく知りたい方はこの本を読んでください、としっかり本の宣伝をして幕を閉じました。

 

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そして、5分間の休憩をはさみ、後半のワールドカフェへ。

「糸島芸農が深江の文化祭で何ができるか」をテーマに、参加者全員でディスカッションを行います。
ファシリテーターは九州大学の福井崇郎くん。
福井君には準備段階からミーティングに参加してもらい、スタッフの考えをまとめる役割を担ってもらいました。

*福井崇郎 / 九州大学大学院生。 シェアハウス「まちの縁側~糸家~」を拠点に各地で様々な対話の場づくりを行っています。

 

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まずはワールドカフェについてエチケットや島となるテーブル構成などについて説明。
それでは5つの島に分かれます。それぞれの島には糸芸のスタッフや九大生がホストとして常駐。他の参加者は20分を目安に、グループを行き来して各チームでアイデア会議です。

 

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こちらのテーブルでは早くもたくさんの書き込みが。

開始早々は自己紹介で20分があっと言う間に過ぎて行きます。しゃべりたりないまま、ファシリテーター福井君の合図で移動したりしなかったり。
そして、加藤さんも参加者に混じって島を移動し、対話を重ねます。

深江区長、深江振興協議会、大学生、イラストレーター、音楽家、大宰府からはるばるお越し下さった役所の若者や農家さんなどなど、幅広い方の参加でディスカッションはスタッフの想像を超えて盛り上がりました。

私も参加させていただきました。私の島は、加藤さん、深江区長さん、大宰府の若者、福吉の農家さん、というメンバー構成で始まりました。大宰府の統一感のある街並みについて質問したり、深江の文化祭の盛大さと各地域にある昔からの誇り、福吉産業祭りの話など、様々なお話が聞けてテーマそっちのけでトークが弾み、対話の面白さを実感しました。

 

WorldCafe

 

最後は全員で輪になってそれぞれの島で提案されたことや対話を共有します。
島が違えば終わり方も違うのがワールドカフェ、と福井君は言います。島ごとの発表ではなく、参加者個人個人が感じた事、皆で共有したいことを発表していきます。

以下、色んな意見を箇条書きで。。

 

・糸島芸農の取り組みはおもしろいけど結局何がしたいのかが見えないので地域のイベントにも顔出して、アピールしてゆくことから始まるのではないか。

・芸農、アート、芸術、という名目だとマニアック過ぎて入りずらい。ぜひ地域との接点を持っていただきたい。

・「農」という字がついている以上、もっと農家を味方にしてもらいたい。農家のやりたい事を代弁してほしい。

・離れた場所で自分達だけでやるんじゃなくて、地域催事の場を「ちょっと拝借させてください」精神で便乗する。

・地元でも目立った存在だったのでとても気にはなっていた。(久保田氏の「伊都國稲作数え唱」などの作品は誰もが気になっていた)
告知がもっと早かったら参加する人はもっと多かったんじゃないか。

・対外的な広報ばかりで地元の参加者へのアプローチや説明が足りなかった。(だからよくわからんと言った状況だった。)

・芸農側も地域の人も何ができるかよくわかってないから、こういう対話の場ができた。対話をしていく、何でも話す。話す場があるということで仲良くなったり、アーティストを理解できる。まずはそんな場を作ることでもいいのではないか。

・若い世代は普段、職場と家の往復で地域の事そのものの情報も入って来ないし参加できない人も多い。そんな人達の架け橋になる、新たなコミュニティーという役割もあっていい。

・最近、糸島に移住して来たのは糸島芸術祭のようなイベントも行われている土地だからということが大きかった。すでに確立された地域の催事に入り込むのが難しい人達の新たなコミュニティーになってもいいんじゃないか。

・糸島芸農はもっと地域に密着して活動しているんだと思っていた。こんなに悩んでいる団体とは思ってなかった。今後伝統芸能や地域の文化活動と融合して新たなものを生み出すことを楽しみにしている。

 

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最後に加藤さん、「ワールドカフェに参加させていただいたことでわかったことは、皆さん、優しく発言しておられるがつまりは(地域の方にとっては)糸島芸農はつまらない、おもしろくないダメだ、と思われている(笑)ただし可能性ゼロではないとも思っている。だからこそこっちへこいよ、来てくれればなんか彼らも何かしら芽が出るかもしれない。糸島芸農に参加してください以前に、まずは地域に参加してから(こうした)提案をするべきだろう。」

と皆さんのご意見を総括されます。

「とはいえ地域の活動にも様々な課題はある。結局は(糸島芸農にも)おおいに可能性かあるという話にもなる」
地域にもっと入って行き、色々な提案ができるような立場になる。それぞれの問題を抱える地域や個人が(糸島芸農含めた)アートを利用して課題を乗り越えてるようなツールになればいい、とおっしゃいます。

 

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糸島芸農、松崎委員長は今回の対話を通して、糸島芸農がどう地域の人に受け止められていたのかを知るいい機会となった。芸術祭は去年が第一回目とあって、初めてのことだらけな中、右も左もわからないままイベントをこなしていたような気がする。今後は今日、皆さんに教えていただいた地域の祭事のことを知り、参加できるところからお邪魔していきたい、と感想を述べました。

糸島芸術祭は「農」という部分で二丈や深江地区を場として使わせていただきました。

しかし、肝心の地元の方々は芸術祭に参加していたかというとそうでもないんじゃないか、そんな実行委員達が感じていたことが証明された結果となりました。
そして、私たちが実は地域に片思いしていたんだ、ということも改めて気づかされた貴重なイベントになりました。

“耕し、芸す”というキャッチフレーズのもと開催された芸術祭でしたが、加藤さんの言われたように、 今後この地で糸島芸農が活動していくことが、地元糸島にとって良い影響を与えないといけないという目標もできました。

土地が持つ自然、歴史、人々の営み、そのすべてが素材であり、一人ひとりが表現者であるということを糸島芸農が代弁していけたら、そう感じました。

去年、のぼり端を見かけた時はなんか始まるちゃろーね、と思ったけど、全然興味がわかんやった!(笑)と爽快なカウンターパンチや、農業のサイクルに合わせたイベントって米のサイクルに合わせとうだけやろ~、などなど、ごもっともなご意見が飛び交ったこの対話の場がある意味、温かいものであったと改めて実感しています。

糸島芸農自体が準備期間も含めても発足されてまだ2年に満たないアート団体です。新しいコミュニティを形成してゆく中で、糸島芸農が新しいお祭り型のアート、ツールになることは可能であろうという加藤さんのご意見を実現できたらと思います。そしてアートによって利害関係のない有機的なつながりを生みだせるような芸農に育っていけたら、と思います!

 

<記事参照、トークイベント前篇

 

 

 

 

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